席を彩るお料理の主役達・食材ご紹介

魚　Vol.01


九絵（クエ）・地方名でモロコ・アラとも呼ばれ、水深20～60m ぐらいの潮通しの良い岩礁の穴を棲家とし、夜間の捕食時以外は殆ど動かない。大変臆病な性質を持っている反面、体は最大2m 100kgを超えるものもあり、磯大物釣のターゲット。滅多に口にすることのできない高級魚で、お刺身と鍋は天下一品。秋から冬が最も美味しく、脂が載っている割には以外あっさりした味。紀伊半島では名物料理とされる。（「あら」の解説を参照）	鬼虎魚（オニオコゼ）・カサゴやメバルなどと同様に、頭部やエラ蓋に鋭いトゲを持つ。また、背びれが特に発達し、猛毒を含むトゲがある。体色は、住む場所により変化し、沿岸の砂泥地に住むものは、黒褐色で、深場では、赤褐色や黄色みを帯びている。旬は、夏場

赤ムツ（のどぐろ）・目が大きく、生体に赤みを帯びている為この名がある。また、上記写真左のように、口の中が黒いので、別名「のどぐろ」とも言われる。水深約２００mほどの深海に住み、東京湾・相模湾にも生息するが、まずお目にかかることは無い。日本海の新潟以南にはまだ多く生息しているものの、超高級魚とされている。旬は、１０月頃から翌年４月頃までで、特に冬には脂がのり非常に美味。東京では、塩焼きが主流。（「黒ムツ」の解説を参照）	新子（シンコ）・コノシロの幼魚の別称で、早春に生まれた５～６cm の頃の呼び名で、以降、７～１０cmのものは、お馴染みの「こはだ」と呼び、１５㎝ぐらいまでを「なかずみ」、それ以上を「このしろ」と呼ぶ。小型のものほど価格が高く珍重されるのが特徴。夏場は外海ですごすことが多く、秋から春にかけては主に内湾に移り、河口や干潟などの汽水域にも生息する。小骨の多い魚ではあるが、新子の場合、骨が気にならず適度な脂肪があり、とても美味、旬は秋。

鮟鱇（あんこう）・北海道以南、朝鮮半島南部、東シナ海に分布し、東京市場には常磐、銚子以西のものが多く入荷。特に常磐（平潟）あたりのものが上物とされている。身は、淡白で美味だがそれ以上に内臓が美味しく特に肝臓（いわゆるアン肝）は珍重される。肝臓（肝）・尾びれ（とも）・未熟の卵巣（ぬの）・えら・胃（水袋）・白身肉（柳肉）・皮を鮟鱇の7つ道具と呼んでいる。体はぶよぶよとしていて、しわも大きい為、まな板ではおろしにくく、「吊るし切り」という技法を用いる。旬は、冬で特に９月ごろから翌年の４月ごろまで。	アコウ鯛（雉羽太：きじはた）・ハタの仲間できじの羽に似た斑紋を持つ為この名が付いたと言われている。また、エンジ色の体色を持つ事から、「あずきハタ」とも呼ばれる。（「青羽太」（あおはた）の解説を参照）（「赤羽太」（あかはた）の解説を参照）ハタの仲間としては、クエと同様に特に珍重される超高級魚で、東京市場への出荷は少なく、関東では中々口にすることはできない。釣魚としても「引き」が強く味も良いので大変人気がある。夏から秋にかけてが旬とされており、淡白で非常に弾力のある身は、刺身・酒蒸し・鍋などで最高。

喜知次（きちじ）（きんき）・一般的呼び名は、「きんき」で通っている。カラフト千島から駿河湾までの太平洋側の深さ７０～１０００mぐらいの深海に棲息。以前に宮城県では名物笹かまぼこの材料にしていたが、今や北の超高級魚、いや赤い宝石とまで言われている。主に東北や北海道で漁獲され、関東でも煮魚の王者として人気がある。一般には煮魚にされ、「きんきの煮つけ」は最上の料理のひとつ。　釣りたては、オレンジ色に輝いているが時間がたつほどに赤く変色していく。勿論釣りたては、刺身にするのも良し、肝は特に美味だが関東では中々食することはできない。特に皮を引かないで湯引きにすると皮下にゼラチン質の層ができ、独特の食感と、すぐ下にある脂の甘味が口の中で溶け出してくる。旬は、晩秋から冬にかけて。	甘鯛（あまだい）・地方によっては白河・グジなどと呼ばれる。若魚には雌が多く、大きいものなると雄が多い。大型は上物とされ、その殆どが雄である。また、同種で白甘鯛（シロアマダイ）という種類も存在するが、非常に数が少なく、まずお目にかかることは無い。身は白くて柔らかく、甘味があり非常に美味。福井県の若狭湾で捕れたものが、「若狭ぐじ」と呼ばれ、京都ではとても珍重されている。（甘鯛の西京焼きはこちら）（甘鯛海胆蒸しはこちら）（甘鯛の塩焼きはこちら）

矢柄（やがら）・同種は複数の種類が存在するが、美味しいものは、上の写真のように体色の赤い「アカヤガラ」と呼ばれるもの。細長く矢柄に似ていることからこの呼び名がある。透き通った白身で、くせが無く、刺身は勿論のこと、昆布〆椀種、寄せ鍋の具としても非常に美味な魚として、高級魚として扱われている。長い口は、腎臓病に効くと言われており、干して漢方薬にされる。長崎が主な産地として有名だが、漁獲量はそれほど多くはなく、東京市場などへの入荷は少ないので、なかなか口にすることはできない。旬は秋から春にかけてだが、味が最も良いのは冬の終わりから、初春まで。	皮剥（かわはぎ）・上記写真左のように体全体の皮を剥ぐことができるので、この名前が付いたと言われている。体の表面は、殆どぬめりが無く、ザラザラとして紙やすりのような感触。雄は背びれの一部が特に細長く伸びており、すぐに雌雄を判別することができる。独特のおちょぼ口でエサを捕るが、他の魚のようにエサを一気に丸呑みして移動することは無く、摘み取るような動作でエサを捕食する為、釣り人の間ではエサ捕り名人と呼ばれている。旬は夏から秋にかけてで、この頃のかわはぎは、ふぐに匹敵するとも言われるぐらい美味。身のしまった白身で、特に肝臓（かわはぎの肝）の美味しさは、つとに知られている。近年は、漁獲量が減り、３００ｇ以上の鮮度の良いものは、高級魚に近い扱いを受けている。（皮剥のお造りはこちら）

細魚（さより）・さよりは本格的な春の訪れを告げる魚で、水温が緩む頃、市場には緑色に輝くさよりの姿が増えてくる。ほっそりとした銀色の肌に青みがかった背に、白く透明な腹部、そして長く伸びた下あごの先端には紅をさしたように赤く、何とも美しい魚である。味も極めて淡白で上品な味で、近海ものとしては、高級魚扱いされている。ほっそりとしたきゃしゃな外見そのままに、大変臆病な魚で危険を感じたり、驚いたりすると海面から1メートル以上も跳び上がったりする。また、美しい外見とは裏腹に、腹内部の粘膜が黒いところから、腹黒い人のことをさよりと呼ぶ面白い例えもある。旬は、春から初夏にかけてで、特に３～４月は脂ののりが良く、美味。（「ちか」の解説を参照）	真鯒（まごち）・日本中部以南の近海の砂底に生息する独特な扁平の体を持つ。同種メゴチという似た魚がいるが、体はメゴチほどトゲトゲしくはなく、何より体長がまったく違う。メゴチはせいぜい２０cm程だが、マゴチは倍ほど違う。また、秋の「落ち」の季節ともなると１m近いものもある。主に小さなエビ等を主食とするが、釣りでは上記メゴチやハゼを生餌として使うなど、動物性のものを食べる。釣りの世界では、「ヒラメ４０コチ２０」と言われている。これは、コツコツとしたアタリがあっても早アワセは禁物で、２０ほど数えてからゆっくりアワセるという事。旬は夏で、身は非常に淡白で「活け」ものの食感を楽しむのだが、鮮度が落ちると全く美味くない。刺身は勿論、天ぷら・煮つけ・椀ものでも非常に美味。

平目（ひらめ）・白身魚の代表格で、鯛と並ぶ高級魚である。料理店、割烹店の需要が多く、最近では一般家庭とはすっかり縁遠くなってしまった。極めて美味な魚で上品な白身で、淡白なのに味が良いのは、アミノ酸類のバランスが良く、特に魚類の旨味の主体となるイノシン酸が多い為と言われる。１mにもなる大型の魚で、暗褐色に乳白色の小さな斑点を散りばめた体側を上にして泳ぐ。両目は、体を表にし、尾を下側にすると右側にあり、外海の沿岸の水深５０～１００ｍの海底の砂地に生息する。底魚は一般に周囲の色調に合わせて体色を変える習性があるが、ひらめはその最たるもので、瞬時にして変色する旬、寒びらめと言われるように冬が最も美味しい。３～７月の産卵期は味が落ち、俗に３月びらめは、猫も喰わないと言われる。（平目の漬けはこちら）	真名鰹（まながつお）・味がとても良く、鰹と同じくらい美味しいという所からこの名が付いたとされている。しかし、鰹とは全く種別が異なり、姿もまるで異なる。全体的には菱形のような体型で、平べったく頭が丸く縮まっている。関東よりも関西の方が多く好まれており、特に懐石料理では好んで用いられる。肉質は締まった白身で独特のねっとり感がある。また、骨が柔らかくて食べやすく、鮮度の良い物は刺身で食すと非常に美味である。関東以南、黄海、東シナ海等に広く分布し、日本では九州が主な産地である。旬は春から初夏にかけて。

ホウボウ（漢字では魚へんに方と、同じく弗と書く）・この魚の名称の由来には諸説ある。頭の形が角張っているので、方帽（方は四角の意）になったという説や、捕らえられると浮き袋を振動させて音を出すが、その音が「ぼーぼー」と聞こえる所からこの名が付いたとも言われている。体色は淡紫紅色で、頭は骨板で覆われ角張っており、胸びれは大きく開くと鮮やかな青緑色をしている。胸びれの下に3本の軟条が付いており、海底を動いてエサを捕食する際の触覚的役割もするが、見た目は足を使って歩いているように見える。肉質は白身で鯛に匹敵する味で高級魚とされている。北海道南部以南の各地に分布し、深さ２００m前後の砂泥地に生息する。新潟、富山が主産地だが近年はニュージーランドから輸入されることも多くなった。旬は冬で最も美味しく、秋から春にかけて多く出回る。	柳鰈（やなぎむしがれい）・その名のとおり、柳の葉のようなほっそりとした体型で、表側は褐色、近種は非常に多く、約１００種類ぐらいが世界中で食べられおり、日本でも平たい特徴的な体型で「ひらめ」同様古くから親しまれている。ちなみに目の位置によって「かれい」と「ひらめ」は区別できることは有名だが、表現の違いによって、「左ひらめに右かれい」もしくは、「左かれいに右ひらめ」といったように混乱する。要は、見る向きの違いであって、頭の部分を上にすれば「かれい」の目は左側に寄り、逆に尾の部分を上にすればその逆となる。それよりも決定的な違いは、一般的成魚の場合の大きさが全く違い、圧倒的に「ひらめ」の方が大型である。また、「かれい」のおちょぼ口に対して「ひらめ」は歯がするどく大口であり、これは食性の違いからくるものである。但し、オヒョウという「かれい」は唯一「ひらめ」より大型になる。旬は冬で、常磐物が最高級とされ、焼いた縁側は絶品。また、干した子持ちの物も高級品として扱われている。

鰆（さわら）・体色は光沢のある淡い灰青色で、腹側は白い。身は柔らかくて癖の無い上品な味の白身である。瀬戸内地方、特に四国側ではこれを春告魚と呼ぶように、春の魚だからということで、「鰆」と書くが、本来の名前の由来は実は、スマートな体形を表現して、「狭腹」（さはら）からきていると言われている。相模灘と房州のものが最高級品とされており、瀬戸内では、春から初夏、駿河湾では晩秋、東京では冬が旬。	眼張（めばる）・かさごの仲間で、かさご同様に沖釣りの根魚の対象として人気がある。種類は多いが、主として市場に出回るのは、「めばる」と「うすめばる」があるが、両者は区別されずに売られることが多い。体色は上の写真のように生息場所によって著しく異なり、浅場に住むものほど黒みが強く、深場に住むものは逆に黒みが薄くなり赤みが強くなる。この体色の違いによって「金めばる」・「黒めばる」・「赤めばる」・「白めばる」などと呼び分けているが、いずれも同一種だか、市場では、「金めばる」が最も美味しいとされ値が高く、「黒めばる」がそれに次ぐ。春が旬だが、市場にはほぼ通年出回っている。（眼張の煮付けはこちら）

鮎魚女（あいなめ）・日本各地の沿岸の特に海藻の多い岩礁地帯に生息する磯魚。体表には細かい複雑な斑紋があり、体色は黄色・赤・褐色・暗緑色など、生息する環境による固体差が極めて大きく、一種の保護色となっている。その名は、賞味すべき美味な魚とでも言うような意で、身は白身で透明感があり非常に美味。白身の割りに脂が多く、別名の「あぶらこ」・「あぶらめ」もそこに由来があると言われる。市場に出回るのは２～３年ものの３０㎝前後のものが主流だが、４年ものの成魚になると、３５～40cm、重さ 1ｋｇほどになり、近年はこの大型の活物や活〆のものが刺身用・寿司種用として人気が高く、利用度の高い魚である。通年出回り味は比較的安定しているが、特に春から初夏にかけてが旬で非常に美味。	石鯛（いしだい）・日本のほぼ全域の各地の磯や浅い岩礁に生息する。幼魚から小振りのものは、黒い横じま明確で一目でそれと判り、シマダイと呼ばれるが、雄は老成魚になると口ばし部分のみ黒く、全体に灰色体色に変化する。雌は老成魚になってもしま模様は明確に残る。シマダイクラスはとても数多く生息するが、大型には中々お目にかかることは少なく、幻の魚と呼ばれている。小型でも味は良く、値段も安価なのでお手頃な魚である。味の大きな特徴は、刺身にしてほどよい磯の香りがあり、これが持ち味でもある。塩焼きは身の締りの良さ皮の風味が素晴らしい。旬は梅雨時から夏にかけて。（「石垣鯛」の解説を参照）


九絵（クエ）・地方名でモロコ・アラとも呼ばれ、水深20～60m ぐらいの潮通しの良い岩礁の穴を棲家とし、夜間の捕食時以外は殆ど動かない。大変臆病な性質を持っている反面、体は最大2m 100kgを超えるものもあり、磯大物釣のターゲット。滅多に口にすることのできない高級魚で、お刺身と鍋は天下一品。秋から冬が最も美味しく、脂が載っている割には以外あっさりした味。紀伊半島では名物料理とされる。（「あら」の解説を参照）	鬼虎魚（オニオコゼ）・カサゴやメバルなどと同様に、頭部やエラ蓋に鋭いトゲを持つ。また、背びれが特に発達し、猛毒を含むトゲがある。体色は、住む場所により変化し、沿岸の砂泥地に住むものは、黒褐色で、深場では、赤褐色や黄色みを帯びている。旬は、夏場

赤ムツ（のどぐろ）・目が大きく、生体に赤みを帯びている為この名がある。また、上記写真左のように、口の中が黒いので、別名「のどぐろ」とも言われる。水深約２００mほどの深海に住み、東京湾・相模湾にも生息するが、まずお目にかかることは無い。日本海の新潟以南にはまだ多く生息しているものの、超高級魚とされている。旬は、１０月頃から翌年４月頃までで、特に冬には脂がのり非常に美味。東京では、塩焼きが主流。（「黒ムツ」の解説を参照）	新子（シンコ）・コノシロの幼魚の別称で、早春に生まれた５～６cm の頃の呼び名で、以降、７～１０cmのものは、お馴染みの「こはだ」と呼び、１５㎝ぐらいまでを「なかずみ」、それ以上を「このしろ」と呼ぶ。小型のものほど価格が高く珍重されるのが特徴。夏場は外海ですごすことが多く、秋から春にかけては主に内湾に移り、河口や干潟などの汽水域にも生息する。小骨の多い魚ではあるが、新子の場合、骨が気にならず適度な脂肪があり、とても美味、旬は秋。

鮟鱇（あんこう）・北海道以南、朝鮮半島南部、東シナ海に分布し、東京市場には常磐、銚子以西のものが多く入荷。特に常磐（平潟）あたりのものが上物とされている。身は、淡白で美味だがそれ以上に内臓が美味しく特に肝臓（いわゆるアン肝）は珍重される。肝臓（肝）・尾びれ（とも）・未熟の卵巣（ぬの）・えら・胃（水袋）・白身肉（柳肉）・皮を鮟鱇の7つ道具と呼んでいる。体はぶよぶよとしていて、しわも大きい為、まな板ではおろしにくく、「吊るし切り」という技法を用いる。旬は、冬で特に９月ごろから翌年の４月ごろまで。	アコウ鯛（雉羽太：きじはた）・ハタの仲間できじの羽に似た斑紋を持つ為この名が付いたと言われている。また、エンジ色の体色を持つ事から、「あずきハタ」とも呼ばれる。（「青羽太」（あおはた）の解説を参照）（「赤羽太」（あかはた）の解説を参照）ハタの仲間としては、クエと同様に特に珍重される超高級魚で、東京市場への出荷は少なく、関東では中々口にすることはできない。釣魚としても「引き」が強く味も良いので大変人気がある。夏から秋にかけてが旬とされており、淡白で非常に弾力のある身は、刺身・酒蒸し・鍋などで最高。

喜知次（きちじ）（きんき）・一般的呼び名は、「きんき」で通っている。カラフト千島から駿河湾までの太平洋側の深さ７０～１０００mぐらいの深海に棲息。以前に宮城県では名物笹かまぼこの材料にしていたが、今や北の超高級魚、いや赤い宝石とまで言われている。主に東北や北海道で漁獲され、関東でも煮魚の王者として人気がある。一般には煮魚にされ、「きんきの煮つけ」は最上の料理のひとつ。　釣りたては、オレンジ色に輝いているが時間がたつほどに赤く変色していく。勿論釣りたては、刺身にするのも良し、肝は特に美味だが関東では中々食することはできない。特に皮を引かないで湯引きにすると皮下にゼラチン質の層ができ、独特の食感と、すぐ下にある脂の甘味が口の中で溶け出してくる。旬は、晩秋から冬にかけて。	甘鯛（あまだい）・地方によっては白河・グジなどと呼ばれる。若魚には雌が多く、大きいものなると雄が多い。大型は上物とされ、その殆どが雄である。また、同種で白甘鯛（シロアマダイ）という種類も存在するが、非常に数が少なく、まずお目にかかることは無い。身は白くて柔らかく、甘味があり非常に美味。福井県の若狭湾で捕れたものが、「若狭ぐじ」と呼ばれ、京都ではとても珍重されている。（甘鯛の西京焼きはこちら）（甘鯛海胆蒸しはこちら）（甘鯛の塩焼きはこちら）

矢柄（やがら）・同種は複数の種類が存在するが、美味しいものは、上の写真のように体色の赤い「アカヤガラ」と呼ばれるもの。細長く矢柄に似ていることからこの呼び名がある。透き通った白身で、くせが無く、刺身は勿論のこと、昆布〆椀種、寄せ鍋の具としても非常に美味な魚として、高級魚として扱われている。長い口は、腎臓病に効くと言われており、干して漢方薬にされる。長崎が主な産地として有名だが、漁獲量はそれほど多くはなく、東京市場などへの入荷は少ないので、なかなか口にすることはできない。旬は秋から春にかけてだが、味が最も良いのは冬の終わりから、初春まで。	皮剥（かわはぎ）・上記写真左のように体全体の皮を剥ぐことができるので、この名前が付いたと言われている。体の表面は、殆どぬめりが無く、ザラザラとして紙やすりのような感触。雄は背びれの一部が特に細長く伸びており、すぐに雌雄を判別することができる。独特のおちょぼ口でエサを捕るが、他の魚のようにエサを一気に丸呑みして移動することは無く、摘み取るような動作でエサを捕食する為、釣り人の間ではエサ捕り名人と呼ばれている。旬は夏から秋にかけてで、この頃のかわはぎは、ふぐに匹敵するとも言われるぐらい美味。身のしまった白身で、特に肝臓（かわはぎの肝）の美味しさは、つとに知られている。近年は、漁獲量が減り、３００ｇ以上の鮮度の良いものは、高級魚に近い扱いを受けている。（皮剥のお造りはこちら）

細魚（さより）・さよりは本格的な春の訪れを告げる魚で、水温が緩む頃、市場には緑色に輝くさよりの姿が増えてくる。ほっそりとした銀色の肌に青みがかった背に、白く透明な腹部、そして長く伸びた下あごの先端には紅をさしたように赤く、何とも美しい魚である。味も極めて淡白で上品な味で、近海ものとしては、高級魚扱いされている。ほっそりとしたきゃしゃな外見そのままに、大変臆病な魚で危険を感じたり、驚いたりすると海面から1メートル以上も跳び上がったりする。また、美しい外見とは裏腹に、腹内部の粘膜が黒いところから、腹黒い人のことをさよりと呼ぶ面白い例えもある。旬は、春から初夏にかけてで、特に３～４月は脂ののりが良く、美味。（「ちか」の解説を参照）	真鯒（まごち）・日本中部以南の近海の砂底に生息する独特な扁平の体を持つ。同種メゴチという似た魚がいるが、体はメゴチほどトゲトゲしくはなく、何より体長がまったく違う。メゴチはせいぜい２０cm程だが、マゴチは倍ほど違う。また、秋の「落ち」の季節ともなると１m近いものもある。主に小さなエビ等を主食とするが、釣りでは上記メゴチやハゼを生餌として使うなど、動物性のものを食べる。釣りの世界では、「ヒラメ４０コチ２０」と言われている。これは、コツコツとしたアタリがあっても早アワセは禁物で、２０ほど数えてからゆっくりアワセるという事。旬は夏で、身は非常に淡白で「活け」ものの食感を楽しむのだが、鮮度が落ちると全く美味くない。刺身は勿論、天ぷら・煮つけ・椀ものでも非常に美味。

平目（ひらめ）・白身魚の代表格で、鯛と並ぶ高級魚である。料理店、割烹店の需要が多く、最近では一般家庭とはすっかり縁遠くなってしまった。極めて美味な魚で上品な白身で、淡白なのに味が良いのは、アミノ酸類のバランスが良く、特に魚類の旨味の主体となるイノシン酸が多い為と言われる。１mにもなる大型の魚で、暗褐色に乳白色の小さな斑点を散りばめた体側を上にして泳ぐ。両目は、体を表にし、尾を下側にすると右側にあり、外海の沿岸の水深５０～１００ｍの海底の砂地に生息する。底魚は一般に周囲の色調に合わせて体色を変える習性があるが、ひらめはその最たるもので、瞬時にして変色する旬、寒びらめと言われるように冬が最も美味しい。３～７月の産卵期は味が落ち、俗に３月びらめは、猫も喰わないと言われる。（平目の漬けはこちら）	真名鰹（まながつお）・味がとても良く、鰹と同じくらい美味しいという所からこの名が付いたとされている。しかし、鰹とは全く種別が異なり、姿もまるで異なる。全体的には菱形のような体型で、平べったく頭が丸く縮まっている。関東よりも関西の方が多く好まれており、特に懐石料理では好んで用いられる。肉質は締まった白身で独特のねっとり感がある。また、骨が柔らかくて食べやすく、鮮度の良い物は刺身で食すと非常に美味である。関東以南、黄海、東シナ海等に広く分布し、日本では九州が主な産地である。旬は春から初夏にかけて。

ホウボウ（漢字では魚へんに方と、同じく弗と書く）・この魚の名称の由来には諸説ある。頭の形が角張っているので、方帽（方は四角の意）になったという説や、捕らえられると浮き袋を振動させて音を出すが、その音が「ぼーぼー」と聞こえる所からこの名が付いたとも言われている。体色は淡紫紅色で、頭は骨板で覆われ角張っており、胸びれは大きく開くと鮮やかな青緑色をしている。胸びれの下に3本の軟条が付いており、海底を動いてエサを捕食する際の触覚的役割もするが、見た目は足を使って歩いているように見える。肉質は白身で鯛に匹敵する味で高級魚とされている。北海道南部以南の各地に分布し、深さ２００m前後の砂泥地に生息する。新潟、富山が主産地だが近年はニュージーランドから輸入されることも多くなった。旬は冬で最も美味しく、秋から春にかけて多く出回る。	柳鰈（やなぎむしがれい）・その名のとおり、柳の葉のようなほっそりとした体型で、表側は褐色、近種は非常に多く、約１００種類ぐらいが世界中で食べられおり、日本でも平たい特徴的な体型で「ひらめ」同様古くから親しまれている。ちなみに目の位置によって「かれい」と「ひらめ」は区別できることは有名だが、表現の違いによって、「左ひらめに右かれい」もしくは、「左かれいに右ひらめ」といったように混乱する。要は、見る向きの違いであって、頭の部分を上にすれば「かれい」の目は左側に寄り、逆に尾の部分を上にすればその逆となる。それよりも決定的な違いは、一般的成魚の場合の大きさが全く違い、圧倒的に「ひらめ」の方が大型である。また、「かれい」のおちょぼ口に対して「ひらめ」は歯がするどく大口であり、これは食性の違いからくるものである。但し、オヒョウという「かれい」は唯一「ひらめ」より大型になる。旬は冬で、常磐物が最高級とされ、焼いた縁側は絶品。また、干した子持ちの物も高級品として扱われている。

鰆（さわら）・体色は光沢のある淡い灰青色で、腹側は白い。身は柔らかくて癖の無い上品な味の白身である。瀬戸内地方、特に四国側ではこれを春告魚と呼ぶように、春の魚だからということで、「鰆」と書くが、本来の名前の由来は実は、スマートな体形を表現して、「狭腹」（さはら）からきていると言われている。相模灘と房州のものが最高級品とされており、瀬戸内では、春から初夏、駿河湾では晩秋、東京では冬が旬。	眼張（めばる）・かさごの仲間で、かさご同様に沖釣りの根魚の対象として人気がある。種類は多いが、主として市場に出回るのは、「めばる」と「うすめばる」があるが、両者は区別されずに売られることが多い。体色は上の写真のように生息場所によって著しく異なり、浅場に住むものほど黒みが強く、深場に住むものは逆に黒みが薄くなり赤みが強くなる。この体色の違いによって「金めばる」・「黒めばる」・「赤めばる」・「白めばる」などと呼び分けているが、いずれも同一種だか、市場では、「金めばる」が最も美味しいとされ値が高く、「黒めばる」がそれに次ぐ。春が旬だが、市場にはほぼ通年出回っている。（眼張の煮付けはこちら）

鮎魚女（あいなめ）・日本各地の沿岸の特に海藻の多い岩礁地帯に生息する磯魚。体表には細かい複雑な斑紋があり、体色は黄色・赤・褐色・暗緑色など、生息する環境による固体差が極めて大きく、一種の保護色となっている。その名は、賞味すべき美味な魚とでも言うような意で、身は白身で透明感があり非常に美味。白身の割りに脂が多く、別名の「あぶらこ」・「あぶらめ」もそこに由来があると言われる。市場に出回るのは２～３年ものの３０㎝前後のものが主流だが、４年ものの成魚になると、３５～40cm、重さ 1ｋｇほどになり、近年はこの大型の活物や活〆のものが刺身用・寿司種用として人気が高く、利用度の高い魚である。通年出回り味は比較的安定しているが、特に春から初夏にかけてが旬で非常に美味。	石鯛（いしだい）・日本のほぼ全域の各地の磯や浅い岩礁に生息する。幼魚から小振りのものは、黒い横じま明確で一目でそれと判り、シマダイと呼ばれるが、雄は老成魚になると口ばし部分のみ黒く、全体に灰色体色に変化する。雌は老成魚になってもしま模様は明確に残る。シマダイクラスはとても数多く生息するが、大型には中々お目にかかることは少なく、幻の魚と呼ばれている。小型でも味は良く、値段も安価なのでお手頃な魚である。味の大きな特徴は、刺身にしてほどよい磯の香りがあり、これが持ち味でもある。塩焼きは身の締りの良さ皮の風味が素晴らしい。旬は梅雨時から夏にかけて。（「石垣鯛」の解説を参照）